創業20周年を迎えて
おかげさまで、アネシスプランニング株式会社は2026年10月、創業20周年を迎えることができました。
20年という節目を迎え、改めて「なぜ、この会社をつくったのか」を考えています。
私はアネシスプランニングを創業する以前、積水ハウス株式会社に20年以上勤務し、住宅・不動産に関わるさまざまな仕事を経験してきました。
積水ハウスでは、多くのお客様の住まいづくりに携わり、住宅、建築、不動産、そして住宅ローンをはじめとする資金計画など、現在の仕事につながる多くの知識と経験を培うことができました。
その一方で、経験を重ねるにつれ、次第に自分の中に一つの思いが強くなっていきました。
「もっとお客様の側に立って、住宅や不動産について考える仕事ができないだろうか」
住宅会社には住宅会社としての役割があり、不動産会社には不動産会社としての役割があります。金融機関にも、それぞれの役割があります。当然、それぞれが自社の商品やサービスを提供することを目的としています。
しかし、お客様にとって本当に必要なのは、必ずしも「どの商品を選ぶか」だけではありません。
「そもそも家を買うべきなのか」
「この会社と契約していいのか」
「この住宅ローンを背負って大丈夫なのか」
「別の選択肢はないのか」
住宅や不動産、建築、金融といった専門性の高い分野では、提供する側と利用する側との間に、どうしても知識や経験、情報量の差が生まれます。
また、お客様によっても、その分野に対するリテラシーには濃淡があります。
専門家にとっては当たり前のことであっても、お客様にとっては初めて聞く話かもしれません。まして住宅や不動産は、人生の中で何度も経験するものではありません。
こうした「情報の非対称性」がある状態では、十分な情報を持たないまま、大きな判断を迫られてしまうことがあります。
だからこそ、専門家の役割は単に知識や情報を提供するだけではなく、お客様が正しく理解し、自ら納得して判断できるところまで、その情報格差を埋めていくことにあると私は考えています。
そうしたことまで含めて、特定の商品や会社にとらわれず、お客様の側から一緒に考える人が必要なのではないか。
その思いが、私が積水ハウスを退職し、2006年にアネシスプランニングを創業した原点です。
あれから20年が経ちました。
この20年間、住宅や不動産の購入・売却、注文住宅、住宅ローン、不動産投資、相続など、さまざまなご相談に携わってきました。
相談内容は一つとして同じものはありません。
住宅を購入することが最善の方もいれば、購入を見送った方がいい方もいます。希望していた住宅会社との契約をそのまま進めるケースもあれば、契約内容を見直したり、別の選択肢を検討したりするケースもあります。
不動産についても、「売る」「買う」だけが答えではありません。
大切なのは、最初から結論を決めるのではなく、その方にとって何が最も適切なのかを一緒に考えることです。
それは、創業時から現在まで変わっていません。
一方、この20年間で住宅や不動産を取り巻く環境は大きく変わりました。
住宅価格や建築費の上昇、住宅ローン金利の変化、長期化する返済期間、人口減少や高齢化、相続問題など、住まいに関する判断は以前にも増して複雑になっています。
そして、ここ数年で起きた大きな変化の一つがAIの急速な進化です。
いまではAIに質問すれば、住宅、不動産、住宅ローン、税金、相続などについて、膨大な情報を短時間で調べ、整理することができます。私自身もAIを日々の仕事の中で活用しています。
では、AIがこれだけ進化すれば、コンサルタントという仕事はいずれ必要なくなるのでしょうか。
私はそうは考えていません。
なぜなら、実際の相談では、お客様自身が最初から「何が問題なのか」を正確に把握しているとは限らないからです。
たとえば「このマンションを買っても大丈夫でしょうか」というご相談であっても、話を伺っていくと、本当の問題は物件そのものではなく、住宅ローンだったり、家族の将来だったり、仕事や収入への不安だったりすることがあります。
相談者との対話の中から問題の本質を見つける。そして、住宅、不動産、建築、金融などの知識とこれまでの経験を組み合わせ、その方にとって現実的な選択肢を一緒に考える。
そこに、これからのコンサルタントの役割があると考えています。
AIは優れた道具です。これからさらに進化し、私たちの仕事の多くを助けてくれるでしょう。
だから、AIと競争する必要はないと思っています。
AIにできることはAIに任せる。その一方で、人の話を聞き、その人が置かれている状況を理解し、ときには本人が気づいていない問題を見つけ、最終的な判断を一緒に考える。
そこは、人間であるコンサルタントが担うべき仕事ではないでしょうか。
考えてみれば、これは20年前にアネシスプランニングを創業したときの考え方と、それほど変わっていません。
特定の商品を売ることを目的とせず、お客様の側に立って考える。
20年前には、それが私が独立してコンサルタントという仕事を始めた理由でした。そしてAIによって誰もが簡単に情報を得られるようになった今、その意味はむしろ大きくなっているように感じています。
創業20周年を迎えることができたのは、これまでご相談いただいた多くのお客様をはじめ、仕事を通じて出会った皆様、そして長年支えてくださった方々のおかげです。改めて、心より感謝申し上げます。
20年という時間は、一つの大きな節目ではあります。しかし、私にとってはゴールではありません。
これまで培ってきた経験を大切にしながら、新しい技術や時代の変化も積極的に取り入れていく。
そしてこれからも、「お客様の側に立って、一緒に考える。」
この創業時の原点を忘れず、一つひとつのご相談に向き合っていきたいと思います。
今後とも何とぞよろしくお願い申し上げます。
2026年10月
アネシスプランニング株式会社
代表取締役 寺岡 孝